おすしブログ

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大金持ちは無地の服を着る

風が強い。実家はあまりにも静か。掛け時計の針の音と風の音しか聴こえない。下宿では24時間車が下を走っている。バカでかいトラックが通ると揺れる。研究室は常に何かが音を立てている。ファンの音がけたたましくなっている。空調の音も2020年にしてはかなりでかい。静かな部屋はいいけれど、ゆったりとしたピアノくらいは流れていてもいいかもしれない。最近までピアノの音は好きじゃなかった。なんというか「音」の中でも格式が高い感じがして、合わないと感じていた。クラシックもジャズも金持ちの音楽だと思っていた。

初めて音楽を「聴いた」のは小学生4年生くらいの頃。父親のiPodを操作してイヤホンをして、シャッフルで流れてきた曲を聴いた。曲は井上陽水の「夢の中へ」。でもこれはTRICERATOPSというバンドがカバーしたversionで、そのアルバムには色んなアーティストが井上陽水をカバーしたものだった。そのとき電流が走ったのを覚えている。凡な表現だけれど、そんな感じでそれから何度もその曲を聴いて、70年代の邦フォークソングを聴きまくった。完全に親の趣味。中学に入って音楽に関してズレていることを痛感する。アコースティックギター地元の楽器屋で買ってもらい、井上陽水とか吉田拓郎とかをジャカジャカ弾いていた。歌いながら弾くのは苦手だったので大抵鼻歌だった。そのころRADWIMPSが5枚目のアルバムを出して「おしゃかしゃま」という曲が流行った。放送で何度も流れていて、初めてRADWIMPSを知った。友達からCDを借りて、叔母に中学合格祝いで買ってもらったライトグリーンのiPod shuffle(画面すらついてないやつ)に入れた。僕のiPodにはおじさんが聴く曲しか入ってなかった。The Beatlesナウいと思っていた。

そしてちゃんとロックにハマった僕はエレキギターを欲して、地元から少し離れた中古の楽器屋さんに行ってギターを買った。f:id:katanasushi:20200410120905j:image

こういうやつ。中古なので3万しないくらいだった。僕は青い色が好きで赤色のものはあんまり持っていないのだけれど、これはお気に入りだった。ちょうどその時期アニメ「けいおん!」がブレイクしていて主人公が同じ種類、同じ色のギターを買っていたので恥ずかしかった。

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エレキギターはアンプというスピーカーを繋がないと音を鳴らさない。アンプもピンキリだけどある程度のものが欲しかった。エレキギターを買った話をするといつも行ってる美容室の店長が昔使ってたというアンプをくれた。でっかいアンプで良い音がした。音量マックスにしたら窓ガラスを割れるくらいのパワーはあった。アンプはギターをやめるまでずっとそれを使っていた。エレキギターを始めたのでハードロックにハマった。これもまた70年代。Deep Purpleというバンドで「Burn」「Smoke on the water」あたりはテレビでもよく使われる曲だ。このバンドのギタリストRitchie Blackmoreを当時は敬愛していて、メールアドレスに使っていたのも香ばしい。高校生まではだいたいうるさい音楽を聞いていた。エネルギーがある曲とでもいおうか。イヤホンをして庭で聴いていた。あれで結構耳が悪くなったと思う。耳鼻科の実習で聴力が弱いと指摘されて、「どうすればいいですか?」と聞いたら「諦めるしかない」と言われて落ち込んだ。騒音からくる難聴は高音から聴こえなくなる。バンドマンは高音に弱い。僕の場合は低音が弱い。通りでおじさんの話が聞き取りづらいわけだ。先生は「歳を取ったら高音は聴こえなくなるので、全部ダメですね」とさらっと言った。さらっと言うなよと思った。

さて浪人した時にはなぜか激しい曲はあまり聴かなくなっていた。その当時映画にどハマりしていたので、英語やフランス語の響きが好きだった。ひたすら洋楽を聴き、後半はフランス語、ドイツ語の曲も聴き、最終的には聖歌や海外の演歌を聴いていた。instrumentalもかなり聴いた。おすすめは「Mùm」「Mono」「jizue」「mogwai」あたりで物悲しい感じのやつを聴いていた。

そして現在はザBGMみたいなやつを流している。砂浜に波が寄せる音とピアノとか、抑揚のないエレクトロニカとか。でもたまに普通の曲も聴く。その度にやはり音楽はすごいなと思う。一撃で人を感動させるのはすごい。絵を見て鳥肌が立ったことなんてない気がする。映画も無音で感動的な演出をすることもあるけれど、やはり音楽あってのものだと思う。

大金持ちは無地の服を着て、映画に出てくる。アメリカの資本主義に関するドキュメンタリー映画「Generation Wealth」に出てくる金持ちは派手派手だった。(この映画は本当に良かった。ドキュメンタリー映画で初めていいと思った)

僕も無地の服ばかり着るけれど(今はタンスに無地のシャツばかり)これは映画の金持ちの真似をしているのだ。実は金を持ったら派手に装うタイプなのかもしれない。服はとても面白いと思う。音楽もとても面白いと思う。どちらもシンプルなものがいい。エントロピーが小さいから。これはおじさん化なのかも知れない。未だビールはクソまずいというのに。