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目玉焼きの作り方


 
 目玉焼きについて語る時、私が語ること。それはまず第一に目玉焼きは自由であるということ。もちろん料理全体しいてはuniverseそのものが自由であるのかもしれないが、まずは目玉焼きについて。目玉焼きを焼く時は鉄のフライパンを使うこと。まずこの時点で自由ではない? いうまでもなく、手入れされた錆びていない鉄フライパンを使う。まず油を敷き、火をかける。油はフライパン全体に行き渡らせる。油から湯気が立つまで中火で空焚きする。湯気をみたら一度火を止めて、コップに入った冷たい水を飲む。そして食卓を片付けておく。カトラリーはまだ出さなくていい。数分経ったら弱火にして、フライパンの面ぎりぎりのところで卵割る。卵黄の膜が破れぬよう、火傷覚悟で近づいて割る。ジュウという音を聞いたら五分は絶対に触ってはいけない。蓋をしてもいけないし、水を加えてもいけない。フライパンには触れず、皿と箸もしくはフォークを用意する。万全を期すのであればナイフとフォークが望ましい。フライパンを覗いてみるとまだ白身全体には火が通っていないのがわかるだろう。白く焼けた部分と、黄色く透明な卵白との対比をみよ。白く焼けた部分は気泡が割れ、月面のようにでこぼこしていて、薄い。透明な部分は少し丸みを帯びて、ちょっとした丘のようだ。少しずつ丘が白く染まっていく。丘が半分くらい染まってくればフライ返しを使って目玉焼きを動かしてもいい。動かすのは、目玉焼きの裏面が均一に焼けていない時だ。ちょっとムラがあるくらいはなんてことないし、むしろそう言うものだが、一部が丸焦げになっていてはいけない。ただし、動かしてもいいが、動かさなくていいなら動かさなくていい。迷うなら動かすなと、言いたい。卵黄の周囲まで火が通ってきたらここからは好みの問題だ。卵白は火が通っているほうが美味い。卵黄については個人の裁量に任される。おそらくここまで手順通りにやれば七、八分と言ったところだろう。あと一、二分追加するかは君が自分に聞いてみればよい。あとはお皿に載せて、食卓に運ぶ。姿勢良く座る。塩も醤油もソースも何も振るな。まずは卵白を切り取って食べるといい。歯応え、弾力、油の香ばしさ、良質なタンパク質の甘みを感じよ。美味しいと思えれば今回は何もかけずに食べればいい。次回からは好きにすればいい。目玉焼きは自由だから。