おすしブログ

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おもいで

中学生の頃。新学期に1回目の保健体育の授業があった。みんな保健体育なんてテキトーに受ければいいと思っている。体育教師がテキトーに授業するものだから。教室に入ってきた先生はめちゃめちゃおじいさん、柔道の先生だった。そして授業が始まる。

教科書を開きなさいという。教科書を持っていない。教科書いらんだろと思っていた。そういう考えのやつが僕以外に4.5人いた。誰か一人が教卓のところまで行って、「教科書忘れました」と先生に告げた。先生によっては名簿に印をしたり、隣の人に見せてもらいなさいと言うだけとかそんな感じだ。

するとおじいちゃん先生は、ブチギレた。「なに忘れとんじゃボケ!!」血管が浮き上がってる。恐ろしい空気の中、次の人が行く。「なんだとコラ!!」軽く頭を叩かれている。二人、三人と進むにつれて先生の怒りは昇っていく。一番後ろで一番端っこの席なので必然的に僕は最後に行く羽目になる。行かないという手もある。しかし行かなくてバレたらいよいよヤバそうなので、冷や汗をかきながら席を立つ。おじいちゃん先生の顔は真っ赤である。そんなに怒ることか…?

教卓に到着する。通学路よりも長く感じた。心の中で深呼吸して、「教科書忘れてしまいました…」と言うと、「ああん?!!」睨みが凄い。「すみません!!」すると一瞬の沈黙。先生の手が僕の方に伸びてきて…、僕の頭を撫でた。

「そうか、謝っとるなら怒れへんなぁ」先生はニコニコしている。頭の中がぐるぐるしているが、「以後気をつけます!」と言って席に戻った。みんなもぽかんとしていた。なんとも清々しい。

謝ることは大事である。とりあえず。非を認めたらすぐ謝ればいい。先生は怒るフリをしていたのだな。あんなに怒るフリが上手いとは、武道って大変なんですね。