おすすめ映画「飛べない鳥」紹介
映画「飛べない鳥」は1995年に公開された、フランスの映画である。
寡作で知られる監督のジャン・レジームの最後の作品である。
御託を並べるのはここまでにしてあらすじと感想を書こうと思う。
とてもお勧めの映画なので出来るかぎりネタバレ無しで、この記事を読んだ後でも楽しめるように努めたい。
主人公の少女ミレーヌは14歳で、幼い頃から動物を飼うことに憧れていた。
しかしミレーヌの母は、ミレーヌの弟イヴが鷹に右腕を食いちぎられてから、極度に動物を嫌うようになる。
イヴの治療のために莫大なお金が必要になり、父は遠くで働き、ミレーヌ達は冷めた生活を送る羽目になった。
ミレーヌ自身も鷹を怖いと思うが、鳥全般、しいては動物全般を忌み嫌う母に納得がいかない。
そしてそんな母の慈悲に包まれた弟イヴが、成長するにつれ、異変が起こる。
ある日、ミレーヌが学校帰りに、野良犬をいじめるイヴを見かける。
イヴは結局その野良犬を殺してしまう。
ミレーヌはイヴが動物虐待をするようになっていたことを知る。
イヴの動物虐待は日々エスカレートしていく。
ミレーヌは母にイヴの非行を伝えるが、母はミレーヌの言うことを信じない。
イヴがそんなことをするはずがない、の一点張りであった。
しかし、ミレーヌは、母が血の付いたイヴの服を洗濯している様子を目撃する。
ミレーヌは、母がイヴの行為を黙認していることを知り絶望する。
ミレーヌは父に手紙を出し、助けを嘆願する。
しかし返事はいつまでも返ってこず、イヴが傷害事件を起こし、学校を退学になってしまう。
母は塞ぎ込み、イヴは凶暴になっていく。
ミレーヌが諦めかけていたとき、父から返事が返ってくる。
父は出先で病に伏していて、身動きが取れない状況にであった。
父は牧場に勤めており、逆にミレーヌ達の助けを求めていた。
ミレーヌは学校を辞めて、働き、お金を貯めて、母と弟イヴを連れて父の元へ旅行する計画を立てる。
ミレーヌは家族の命運を背負い、二人を引き連れて、父のいる牧場に向かうのであった…。
この映画で私が最も注目したのは、ミレーヌの強さの源である。
それぞれに不幸な登場人物が、それぞれに折れてゆく中で、ミレーヌを流されぬようたらしめたものは何だったのか。
旅の途中、何度も心が折れそうになるミレーヌ。
そして牧場に救いはあるのだろうか…
茫漠たる不安と、車窓から見える長閑すぎる風景。
そしてラストのミレーヌの心中の吐露。
ミレーヌの告白に家族の本質に気付かされる、心に残る映画であった。