おすしブログ

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あるパン屋の娘との駆け落ち

先日、映画館で映画を見ていると隣に座ったOLらしき綺麗な女性が話しかけてきた。

まだ本編は始まっていない。

ひそひそ声でOLは話しかけてくる。

「この映画の主人公が真犯人なんですよ」

と、言ってくるではないか。

私はぎょっとしてそのOLを見たが、OLは何の気なしである。

私はもやもやした気持ちで映画を見る羽目になった。

本編はミステリー物で、主人公が探偵的な役割を果たしていく物語であった。

主人公は見るからに正義感の強そうな女性で、とても魅力的である。

しかしOLの先程の言葉が、どうしてもチラつく。
 
(こいつ、真犯人なのか…)
 
と常に思ってしまう。

そういう風に思うと、主人公の行動が何だか裏があるはずで、悪事のように見えてくる。

そう考えてしまうと、主人公を魅力的には思えなくなる。

腹黒くて悪いやつだ、と思ってしまう。

私はそんな感じで、これが伏線か、これも怪しい、こいつ口ではこんなこと言ってるけど…などと勘繰りながら、物語は終焉に近づく。

そして犯人が明かされる時が来た。

しかし、真犯人は主人公ではなかった。

全然違う人であった。

主人公は終始善良な女性であったのだ。

映画が始まってから犯人が分かるまでの90分間、私は主人公を疑い続けた。

犯人がわかってから残り10分間、私はなんとか主人公は本当は普通にいい人だったんだ、と思おうとしたが間に合わなかった。

結局、私は主人公のことを好きになれずに映画は終わった。

映画が終わってエンドロールが流れ始めた瞬間に、OLは逃げていった。

私はそのとき、先入観の恐ろしさを知った。

ここで先入観は3つある。

1つはもちろん、主人公を悪人だと思い込んだこと。

2つめは綺麗なOLさんが嘘なんて付かないという思い込みである。

3つめは記事のタイトルが内容を必ず反映していると思っていることである。