僕はニット帽を被らずに生まれてきて、ニット帽を被らずに死んでいくのだろう。
人生の中で、やろうと思えばやれるが、結局やらなかったことが沢山あるのではないだろうか。
僕はまだペンギンを触ったことがない。
僕はまだ図書館でトランプをしたことがない。
僕はまだ裁判で負けたことがない。
挙げればきりがない。
どれもやろうと思えばやれること。
じゃあ何故やらないかというと、価値を見つけられてないからだ。
沢山価値を見出せば、やりたいことは山ほど出てくるはずだ。
退屈は無くなる。
旅行に行ったり、芸術に触れたり、違う考え方の人間と関わったりすることは、価値を見出す力をつける機会を確実に生んでいる。
余談だが、僕は映画を観るのが好きだ。
僕は映画が価値を見出す力をつけてくれると確信しているからだ。
僕はニットを一度も被らない人生に価値を見出したので、今後ニット帽は被らない。
だけど、僕が死んだ時、被せて貰うことに決めた。
未来のお嫁さんに被せて貰えたら幸いだ。
僕が結婚相手に求める条件は、僕より長生きして、親族に白い目で見られるなか、棺桶に手を突っ込んで僕にニット帽を被せてくれる女性である。